「副業を禁止する企業はもう時代遅れなのでは？」と感じる方は多いかもしれません。しかし実際には、就業規則で副業を厳しく制限したり、違反者に重いペナルティーを科すケースも見受けられます。

本記事では、副業禁止の背景や合法的な対処法、禁止をめぐる企業のホンネを網羅的に解説します。

読了後には、会社が副業をどう位置づけているのか、どこまでが違法か、そしてリスクを回避する具体策がわかります。ご自身のキャリアや収入向上を考えるうえで、必見の内容です。

1.なぜ「副業禁止」なのか？企業が抱える本音と背景

副業への世間の関心は高まっており、働き手のスキルアップや収入源の多様化を促す動きも強まっています。しかし、現状では「副業禁止」を明記している会社が数多く存在します。ここでは、企業が副業を禁止する本音や背景を整理します。

副業禁止が生まれる主な理由

企業が副業を禁じる背景には、いくつかの要因があります。代表的なものとして挙げられるのは「長時間労働による疲労リスク」「自社情報が他社へ漏れる可能性」「就業規則の形式的な踏襲」です。たとえば職務の合間や休日に別の仕事へ従事していると、疲労から本業のパフォーマンスが下がる懸念もあるでしょう。

さらに、就業中に得たノウハウや顧客リストなどが競合他社に流出するリスクは企業にとって大きな痛手となります。そのため「副業は禁止」と一律に定めておけば、会社としては管理が容易というわけです。

副業がバレることを恐れる理由

禁止とわかっていながら副業を始める人も一定数いますが、少しでも企業に知られると不利益を被るかもしれないという不安があります。実際に「副業がバレたら解雇されるのか」「就業規則を破ったら損害賠償を請求されるのでは」など、従業員側もリスクを感じるため、積極的に申告できない現状があります。

「副業禁止 うざい」という不満

一部では、給与が低いにもかかわらず副業を禁止されることに対して、不満を持つ声がインターネット上に上がっています。いわゆる「うざい」という表現に象徴されるように、若年層を中心に「給料安いくせに副業まで禁止するのは酷い」という意見が存在します。

企業はこうした従業員の本音も把握しつつ、一方で社内ルールを堅持せざるを得ないジレンマを抱えているといえます。

2.副業禁止は合法？違法？就業規則と法律の関係を整理する

副業が禁止されている会社に勤めている場合、そもそも副業を「してはいけない」根拠はどこにあるのでしょうか。このパートでは、「副業禁止」が法的にどのような位置づけなのかを、就業規則との関係を踏まえて検証します。

法律上、副業自体は原則自由

実際には「副業を禁じる法律」は存在しません。憲法には職業選択の自由が明記され、労働基準法も就業時間外の活動を制限していません。つまり、副業という行為自体は本来自由であり「日本だけ」が特別に厳しいわけではないのです。

公務員は別途法律で制限されているため、また異なる話となりますが、民間企業の社員に対して、直接的に副業を法で禁止する規定は見当たりません。

就業規則で禁止することはできるのか

多くの企業では「就業規則」に副業禁止の文言を入れています。就業規則は企業が独自に定める労働条件やルールを示す文書で、従業員との間で有効な契約上の拘束力を持っています。

そのため「会社が定める禁止事項に抵触した」という理由で懲戒処分の対象となる可能性はあります。

「副業禁止＝違法」ではない

一部で「副業禁止は違法では？」という論調がありますが、一律に違法と断定することはできません。企業が正当な理由（情報漏えいリスク、労働時間管理の難しさなど）を示して就業規則を設け、それが社会通念上妥当な範囲であるならば、違法とはされにくいのです。

逆に、あまりに不合理な規定や「給料が低いにも関わらず正当な理由がないまま副業を全面禁止」などは、社会通念上の妥当性を欠くとして無効とされる可能性もゼロではありません。

「副業禁止 企業一覧」は存在するのか

インターネット上で「副業禁止の会社一覧」のような情報を探す人もいますが、実際には公式に公表された大規模なリストはほぼありません。

企業にとって副業禁止を広く公開するメリットは乏しく、また労務管理上の見直しが進む中で、各社が定期的に就業規則を修正することも多いため、リアルタイムの一覧を作るのは困難という現状です。

3.副業がバレる仕組みとリスク管理のポイント

副業禁止の会社であっても、様々な理由から副収入を求める人は少なくありません。しかし、一度バレてしまうと「クビになるのでは」「損害賠償請求をされるのでは」といった不安が募ります。

ここでは、副業が会社に発覚しがちなメカニズムと対策を整理します。

住民税からバレるケース

会社員は、給与から住民税を天引きされる「特別徴収」が一般的です。仮に副業で新たな所得が増えると、翌年から住民税が上がる可能性があります。企業が各従業員の住民税額を一覧でチェックしたときに、明らかに他の年と違うなどの不自然な変動があれば「別の収入があるのでは」と察することがあるわけです。

年末調整や複数の源泉徴収票

副業先で給与として報酬を受け取る場合、源泉徴収票が複数枚発行されます。年末調整は原則としてメインの勤務先のみで行われるため、サブの勤務先分については別途確定申告が必要です。もし副業の報酬を申告せず、会社に提出する書類に不整合が生じると疑われるリスクが高まります。

【副業禁止】会社にバレない！副業実践策3選

• 普通徴収の選択
  確定申告書の住民税欄で「自分で納付（普通徴収）」を選択することで、副業分の住民税を会社に通知させないようにできる可能性があります。ただし、自治体によっては特別徴収へ一元化してしまうこともあるため、完全にバレない保証はありません。

• SNSで軽率に発信しない
  副業の成果をSNSに投稿していると、同僚や上司がその情報を見つけるケースがあります。匿名であっても写真や投稿内容から個人を特定される事例があるため要注意です。

• 就業時間中は絶対に副業しない
  本業の時間を使って副業に従事すると、発覚時の処分が重くなる傾向があります。社用端末を利用することも避けた方が無難でしょう。

4.副業禁止が「うざい」と思う人のための選択肢

会社から「副業禁止」と言われると「この時代にまだそんなことを？」と苛立ちを感じる方もいるでしょう。そこで、実際に副収入を得たい人がとり得る選択肢を考えてみます。

適法な副収入の確保

• 投資や資産運用
  株式投資や投資信託、仮想通貨の売買などは「事業」ではなく「金融取引」に分類されるため、就業規則で制限されていない会社もあります。ただし大きな損失リスクもあるので、慎重に行う必要があります。

• 不用品の売却
  フリマアプリやネットオークションを利用して、使わなくなった私物を単発で売る程度なら「副業」とはみなされない場合があります。ただし、仕入れを伴う規模の大きな転売は本格的な副業と見なされる可能性があるため、境界線を意識する必要があります。

会社を説得するアプローチ

会社としては「自社にとってのリスク」が明確であれば、条件を整えることで個別に許可を出すケースがあります。たとえば「他業種に限る」「週末のみ」「就業時間を守る」などの制約を設ければ、交渉が通る可能性はゼロではありません。

実際に「副業禁止 就業規則」として社内規定が厳しい企業でも、「管理職にだけは例外を適用」といった事例があります。

副業禁止でクビになる？解雇の可能性と判断基準

副業がバレた場合でも、直ちに解雇につながるかは状況次第です。あからさまに本業の顧客情報を利用して利益を得るなど、企業に大きな損害を与えた場合は、懲戒解雇もあり得ます。一方で、就業に支障が生じていない場合や、軽微なものであれば、最悪の事態を回避できる余地はあります。

5.「副業禁止は日本だけ」なのか？海外と比較した就労観

グローバル化の中でよく耳にするのが「海外では副業が当たり前」といった話です。果たして、副業への考え方は国によってどの程度違いがあるのでしょうか。実情はどこまで「日本だけ」が特別なのかを確認します。

欧米を中心とした副業事情

欧米では個人のキャリア形成や収入アップの手段として、副業や兼業が当たり前という環境が多く存在します。企業側も人材の多様な活動を推奨する傾向が見られ、特にITやクリエイティブ分野などでは複業を容認する例が少なくありません。

逆にいえば、一人ひとりの裁量労働制が進んでおり、企業も労働時間を細かく管理することが難しいため「個々の責任に委ねる」風土があるともいえます。

日本における雇用慣行の影響

日本の場合は終身雇用や年功序列といった雇用慣行が根強く残っており「会社に尽くす」ことが善とされてきました。この考え方の延長線上で「副業をするのは裏切り行為」だと捉える風潮があったのは事実です。

ただ近年は企業も経営多角化やリモートワーク導入などで働き方が変わりはじめ、副業を解禁する例も確実に増えています。

変わり始めた時代の流れ

政府による働き方改革の推進や、従業員のモチベーション向上策の一環として、一定の条件下で副業を認める会社が拡大しています。たとえば外資系企業やITベンチャーなどを中心に「本業に支障が出なければ自由」というスタイルが浸透しはじめました。

今後さらに「副業禁止」の看板を下ろす企業が増える可能性は高いといえます。

6.副業を認める企業の特徴と、禁止が緩和される流れ

副業禁止を撤廃している企業の事例を見れば、従業員の多方面での活躍を歓迎する企業文化や、勤怠管理の明確化などが進んでいることがわかります。

ここでは、副業を認める企業がどのような特徴をもち、どのような環境整備を行っているのか紹介します。

副業を認める企業の主な特徴

1. スキル多角化を重視
   自社内で獲得できないスキルを副業で身につけてほしいと考える企業は、副業を容認または推奨する傾向があります。社員が得たノウハウを本業へフィードバックし、企業全体の成長に繋げたいという発想です。

2. 管理ルールが整備されている
   一定の条件下で副業を認めるにあたり「競合他社での就業は不可」「週○時間を上限とする」「本業の職務に支障を出さないこと」といった取り決めを明確にしています。これにより企業が想定するリスクをコントロールしやすくなるわけです。

3. パフォーマンス重視の評価制度
   副業を認める企業は、従業員の働き方に対して「成果主義」の評価を重視しがちです。就業時間よりも、どれだけ成果を生み出したかが評価基準となるため、勤務外に別の仕事をしていても問題視されにくいのです。

実際の緩和事例

過去には銀行や大手メーカーなどでも、一部の職種について「社内申請をすれば副業可」といった事例が報道されたことがあります（具体的な企業名や時期の情報はわかりません）。

これらの例が示すように、副業禁止の背景には一律のルールがあった企業でも、時代や社員のニーズに合わせて就業規則を柔軟に見直す動きが進みつつあります。

結果として得られるメリット

• 社員の定着率や満足度が向上
  自己実現の幅が広がることで、社員が長期的に働きやすくなります。

• 副業による新規ビジネスの創出
  社員が外部で培った人脈やスキルを社内に還元することで、思わぬイノベーションが起きる可能性があります。

7.まとめ

ここまで、副業禁止が続く企業の背景や、それに対する働き手の不満、就業規則と法律との兼ね合いなどを解説してきました。副業は法的に見れば原則自由ですが、就業規則という企業固有のルールが強い拘束力をもち、違反すれば懲戒処分を受けるリスクも存在します。

一方で、経済状況の変化や働き方改革によって、副業禁止を緩和する企業も増えています。もし「禁止だから無理」と諦める前に、本業への影響や情報漏えいリスクを回避できる工夫を凝らしたうえで、会社と交渉する道も残されているかもしれません。

ぜひ本記事を参考に、ご自身のキャリアの可能性を広げる選択肢を検討してみてください。