フリーランスの皆さん、「白色申告って簡単って聞くけど、実際どうすればいいの?」とお悩みではありませんか。実は、白色申告は会計の知識がなくても比較的スムーズに進められる一方、注意点や手間がゼロではありません。
本記事では、白色申告のメリット・デメリットや実際のやり方、必要書類、経費の考え方、スマホで行う場合のポイントまで、専門家視点でわかりやすく解説します。
最後まで読めば、初めてでも自信をもって白色申告に取り組めるようになるはずです。
目次
1.フリーランスが白色申告を選ぶメリットとは? 白色申告を選ぶメリット 2.フリーランスの白色申告と青色申告の違い 控除の有無と金額 記帳の難易度 赤字の繰越・繰戻し 事前申請の有無 3.白色申告のやり方・必要書類 白色申告の流れ 白色申告 必要書類 4.白色申告で経費を正しく計上するコツ 経費にできる主な項目 経費計上での注意点 5.スマホでできる白色申告のポイント スマホで申告するメリット スマホ申告の注意点 6.まとめフリーランスの確定申告には「青色申告」と「白色申告」の2種類があります。そのうち白色申告は、事前の申請が不要で、主に単式簿記というシンプルな記帳方法を使える点が特徴です。
煩雑な書類作成に時間を割きたくない方や、簿記に苦手意識がある方でも取り組みやすいのが大きなメリットとなります。
事前手続きがいらない
青色申告を行う際は、管轄の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を期日までに提出しなくてはなりません。しかし、白色申告はそうした手続きが不要です。開業時期やビジネス開始時期を問わず、いきなり取り組めるのが利点といえます。
記帳の方法がシンプル
青色申告で最大の控除を受けようとすると、複式簿記による記帳が求められます。一方、白色申告では単式簿記が認められているため、現金の出入りや経費をざっくりと一覧化するだけで基本的にはOKです。
必要書類が少ない
白色申告の場合は、主に「確定申告書」と「収支内訳書」を提出します。貸借対照表や損益計算書の作成は不要です。提出書類を極力減らしたい方にとっては負担を抑えられます。
こうした手軽さのため、はじめてフリーランスとして申告をする方や、本業とは別に副業で少額の所得を得ている方にとって、白色申告は大きな味方になるでしょう。
「白色申告のほうがシンプル」この点は多くの人が知っているかもしれません。しかし、「結局どちらを選べばいいの?」と悩むケースも少なくありません。
そこで、まずは2つの申告方法の主要な違いを整理しましょう。
青色申告には「青色申告特別控除」という強力な仕組みがあり、最大65万円(電子申告+複式簿記など要件あり)、または55万円、10万円のいずれかの控除が受けられます。一方、白色申告には特別な控除はありません。そのため、課税所得が大きくなりやすいというデメリットがあります。
白色申告:単式簿記(簡易簿記)でOK
お金の動きや経費を単純に記録すればよいため、会計の初心者でも比較的取り組みやすいです。
青色申告:複式簿記がベース
借方・貸方の2方向で記録するなど、専門的な知識が必要です。ただし、10万円控除を選ぶなら簡易簿記でもOKです。
青色申告では、事業所得などで生じた赤字を最大3年間繰り越せるため、翌年以降に黒字が出た場合に相殺できます。白色申告の場合は基本的に赤字を繰り越せません(一定の災害損失など例外を除く)。
開業初年度などで赤字が出やすい場合は、青色申告のほうがトータルの節税につながる可能性が高いです。
白色申告:不要
いつでも開始できる。
青色申告:必要
開業日から2か月以内、または青色申告したい年の3月15日までに書類を税務署へ提出する。
以上から、白色申告は負担が軽い反面、節税面では不利な場面が多いという点が最大の特徴になります。
フリーランスの方が白色申告を行う際の準備と手続きについて解説します。開業届の提出有無に関わらず、収入が発生した時点で確定申告は必要となります。適切な経費管理と必要書類の準備を行うことで、スムーズな申告が可能です。初めて確定申告を行う方でも安心して取り組めるよう、基本的な流れを分かりやすく説明していきます。
収入と経費の具体的な記帳方法
フリーランスの白色申告では、取引の発生日、取引内容、金額を簡潔に記録する単式簿記での記帳が認められています。
例えば、Excelやスプレッドシートで「日付」「取引内容」「収入」「支出」の列を作成し、クライアントからの報酬や事業に関連する経費を時系列で記録していきます。
記帳の具体例:
2025年1月15日 A社デザイン制作費 55,000円(収入)
2025年1月20日 デザインソフト月額利用料 3,980円(支出)
確定申告に必要な具体的な書類
確定申告の際には、以下の書類を漏れなく準備します。
・確定申告書(第一表、第二表)
所得金額や所得控除、税額計算など、申告の基本となる情報を記入します。第一表には収入金額や所得金額、税額を、第二表には各種所得控除の明細を記載します。
・収支内訳書
1年間の事業収入と経費の詳細を記載します。例えば、収入欄には「デザイン制作収入」「コンサルティング収入」など、経費欄には「外注費」「通信費」「消耗品費」などの項目ごとに金額を記入します。
・各種控除証明書
生命保険料控除証明書や医療費の領収書など、控除を受けるために必要な証明書類です。特に医療費控除を受ける場合は、領収書を項目ごとに整理し、「医療費の明細書」を作成します。
・源泉徴収票
副業で給与収入がある場合に必要です。勤務先から受け取った源泉徴収票を必ず保管しておきましょう。
申告書作成の具体的な手順
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」では、画面の案内に従って必要事項を入力することで、確定申告書を作成できます。
例えば、「事業所得」を選択し、先ほどの記帳データをもとに収入金額と経費を入力していきます。
スマートフォンでの申告も可能で、領収書をカメラで撮影して経費として登録できる機能も搭載されています。これにより、日々の経費計上がより簡単になっています。
申告書提出の具体的な方法
次の3つの方法から選択できます。
・税務署への持参
開庁時間内(平日8:30〜17:00)に、申告書と添付書類を持参します。
・郵送による提出
申告書と添付書類を、居住地を管轄する税務署に郵送します。返信用封筒を同封すると、受付印のある控えが返送されます。
・e-Taxでの電子申告
マイナンバーカードとICカードリーダーがあれば、自宅からインターネットで申告できます。スマートフォンの場合は、マイナンバーカードと対応端末があれば申告が可能です。
申告期限は毎年3月15日ですが、2025年は土曜日にあたるため、3月17日(月)が期限となります。余裕をもって準備を進めることをお勧めします。
確定申告書B
収入や所得控除、税額などを記入
収支内訳書
売上、仕入、経費の明細を一覧化
(事業所得用、農業所得用、不動産所得用などの種類あり)
各種控除証明書など
社会保険料控除、生命保険料控除、地震保険料控除、医療費控除などの証明書
フリーランスとして活動を始める際の白色申告について、開業届の取り扱いをご説明します。
開業届(個人事業の開始等申告書)は事業開始から30日以内の提出が原則ですが、未提出でも確定申告は可能です。
ただし、事業者としての信用面や、将来的な融資や各種支援制度の利用を考慮すると、できるだけ早期の提出をお勧めします。特に白色申告の場合は、手続きがシンプルなため、この機会に開業届の提出も検討されてはいかがでしょうか。
フリーランスの白色申告における経費の正しい理解は、適切な節税につながる重要なポイントです。事業に関連する支出を適切に経費として計上することで、課税所得を適正に管理できます。
特に、初めて白色申告を行う方は、経費の範囲や計上方法について正確な知識を持つことで、無駄な納税を避けることができます。
仕入費用
商品の販売や制作に必要な材料、原材料の購入費用が該当します。
外注費・人件費
臨時スタッフやアルバイトへの給与支払いは経費として認められます。ただし、配偶者や親族への支払いについては、青色申告とは異なり、全額を経費として計上することはできません。
事業用の家賃・通信費
事務所として使用する場合の家賃や通信費が対象となります。自宅を事務所として使用する場合は、事業使用部分の割合を適切に按分して計上する必要があります。
旅費交通費・接待交際費
取引先とのミーティングや現場への移動に要した交通費、商談における飲食費など、事業との関連性が明確な支出が経費として認められます。
消耗品費
事務用品、10万円未満の備品類、印刷関連費用、プリンター消耗品などが該当します。
広告宣伝費
ウェブサイトの制作・運営費用、チラシやパンフレットの制作費、SNSやウェブ広告費用など、集客や販促活動に関する支出が含まれます。
保険料
事業用の火災保険や、フリーランス向けの所得補償保険、賠償責任保険などの保険料が該当します。
研修費・教育費
仕事に必要なスキルアップのための講座受講料、セミナー参加費、書籍購入費などが含まれます。
修繕費
事業用機器の修理費用や、事務所の補修費用などが該当します。
証憑書類の適切な保管
経費の証明となる領収書やレシートは、白色申告の場合、法定帳簿は7年間、任意帳簿は5年間の保存が必要です。
個人的支出との区分管理
事業用とプライベート用の支出は明確に区別する必要があります。個人的な飲食や買い物を経費として計上すると、税務調査の対象となる可能性があります。
事業専従者に関する処理
配偶者や親族への給与支払いは、青色申告で認められる「青色事業専従者給与」とは異なり、全額を経費計上することはできません。代わりに「事業専従者控除」として処理します。
日々の経費を適切に記録・管理することで、確定申告時の作業がスムーズになります。白色申告においても、必要経費を正確に把握し、適切に計上することが重要です。
近年、スマホで確定申告書類を作成・提出する方法が広がっています。「白色申告 スマホ」という検索意図からもわかるように、多忙なフリーランスにとっては大きな時短・手間削減となる手法です。
場所を選ばず作業できる
PCを立ち上げる必要がなく、移動中やカフェなどでも空き時間に手続きが進められます。
e-Taxへのスムーズな連携
スマホ対応の確定申告アプリでは、帳簿の作成からe-Taxの送信までワンストップで処理可能。
レシート撮影で自動仕訳
アプリによっては領収書・レシートをスマホカメラで撮影すると自動的に仕訳データ化されます。経費の漏れやミスが減り、作業効率も向上します。
画面が小さいぶん全体像を把握しにくい
項目の入力ミスをしやすいため、最終的にはPC等の大画面で確認するのがおすすめです。
電子証明書やマイナンバーカード対応
e-Taxでスムーズに送信するには、マイナンバーカードの読み取りに対応したスマートフォンが必要な場合があります。事前に機種やアプリの要件を確認しておきましょう。
スマホ申告は便利な一方で、自分の事業規模や入力内容によって向き不向きがあります。こまめに仕訳作業を行い、必要書類がそろっているかを確認してから活用すると効率的です。
白色申告は、開業届なしでもすぐに取り組める手軽さが魅力です。複式簿記や煩雑な手続きが苦手でも、必要書類(確定申告書、収支内訳書など)さえそろえ、経費管理をきちんとしていれば問題ありません。
一方、控除額や赤字繰越制度など、青色申告と比べて不利な点もあるので、あなたの事業規模や将来の拡大見込みに応じて選択することが大切です。まずは手軽に白色申告を経験し、もし本格的な節税を狙うなら青色申告への切り替えを検討するのもひとつの方法です。
ぜひ本記事を参考に、スムーズな白色申告にチャレンジしてみてください。
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